気候風土

数百年を経ても気候風土はさほど変わることがない。気候のよい春や秋を存分に楽しみ、耐え難い夏を、少しでもしのぎやすくするために、開放的な住まいづくりをする。梅雨時の雨に備えるために、しっかりとした傘の役目を果たす屋根を持つ。長い庇の屋根は、夏の盛りには、強い日差しを遮り、涼しい風を呼び込む日傘にもなる。短い冬は、戸をしっかりと閉め、火をたき、重ね着をしてやり過ごす。これが、日本が長い歴史のなかで磨き上げてきた日本の住まい思想なのである。また日本には、頭を働かせて涼をとる文化も発達した。簾や障子などの建具、葦や藤を使った家具や小物類、目にも涼やかな絹や紗の着物、そして浴衣。その他にも風鈴や水琴窟、鱒、寛などなど、夏の風物詩といわれるものも多い。それに比べると欧米の住まいは「壁の家」である。いつ侵入してくるかわからない外敵から家族を守るため、頑強な壁で家を囲む。その多くが、厳しい冬に備えるために、窓も少なく、自然に対して閉鎖的であることが多い。こういった家の中で暮らすためには、おのずと家族問や近隣同士でのルールが生まれてくる。たとえば、万が一の外敵侵入時には、部屋の中からしっかりと閉められる内開きのドアも、普段は、家族間のコミュニケーションを保つために開けはなしている。ちょっとしたパーティを持ち回り的に開くことによって、近隣や世間とのおつきあいも忘れない。

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