日本の住まいと欧米の住まいは違う

■日本の住まいと欧米の住まいは違う建築家として、数多くの住まいをつくらせていただくなかで、私は、いろいろなことを学ばせられた。そのひとつが、日本の住まいと欧米の住まいは違う、ということだ。それは、どちらか一方がよくて、どちらか一方がわるいというのではない。むしろ、少しでも安全に、少しでも快適にという願いは、どの国でも同じである。ただ家は、どんな自然環境、どんな地理的環境、あるいはどんな政治的環境につくられるかによって、長い歴史のなかで、その国にもっともふさわしい形につくられてきたのである。それこそ、家がたんなる建築物でなく、人が生きる住まいとして存在している所以である。その意味において、日本の住まいと欧米の住まいは、家づくりの精神や、起源においてあきらかに違うのである。たとえば日本の住まいは、古来から柱と梁によって支えられる屋根で形成されてきた、いわば「傘の家」である。春夏秋冬という四季に恵まれた日本ながら、入梅から残暑にかけてのムシムシとした湿気を含む暑さには、多くの外国人が音を上げる。これに対抗するために日本人は、さまざまな知恵を働かせてきた。「家のつくりようは夏をむねとすべし。冬はいかなるところにも住まる。暑きころわるき住まいは堪え難き事なり。」といったのは兼好法師だが、この言葉は、現代にも変わらず通じる日本の住まいへの警鐘なのである。

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