はみ出し者の卒業制作

こうしたややもすると閉鎖的ともなりやすい家の形が由だ。そういうマナーやルールもなしに、たんに格好がいいからとか、憧れているからと、建物だけを持ち込み、こういう家に住んだとしたら、大変なことになる。ツーバイフォー、輸入住宅と、もてはやされて急激に日本に入ってきた「壁の家」で、日本の夏を乗り切るためには、完全にエアコンに頼らなければならない。狭い土地に建てられた小さな「壁の家」をさらに壁で小さく区切り、家族がバラバラに冷房のきいた個室に閉じこもる。もちろんドアは閉めきりだ。これでは湿気もたまる。欧米では、必要なときにのみプライバシーを主張するのに、言葉だけが輸入された日本では、いつでもどこでもプライバシーが大手を振って歩く。親子は断絶し、伝承文化どころか、心の交流までが消え去ろうとしているのだ。狭い部屋でエアコンはききすぎ、親子の関係も冷え切ってしまう。これはゆゆしき問題である。家は単なる建物ではない。安易な西欧追随の姿勢では、日本人にとって、本当に快適な住空間は求められない。家をもっと大きな設計思想でとらえることによってのみ、私たちは、本当に暮らしやすい住まいを手に入れることができるのである。■はみ出し者の卒業制作。小手川邸の建築や、五カ月以上におよぶ欧州旅行、帰国後の小手川邸再建、生田研究室でのお手伝いなど、学生時代の大半を慌ただしく飛び回っていた私だが、ギリギリの出席日数にもかかわらず、留年も免れて、無事卒業の日を迎えることになった。

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